飛翔 待つ



杜鵑草(ほととぎす)
翼あたため
飛翔 待つ

木陰にて ひたすらに
飛ぶとき待つ鳥のように
濡れた翼 たゆまなく
あたためる鳥のように

ほととぎすは 蕾開く心を
濃色の葉に隠し 待っている

まさにその時 訪れるまで
息をひそめて 内に秘め
高く伸ばした茎先の
蕾を木陰に溶け込ませ
飛び立つ時を 待っている

空冴えわたり 雲流れ
高らかに呼ぶ声が聞こえる日
ほととぎすは一斉に羽広げ
まさに飛翔の時を迎える

気が付けば その姿すでに無く
茎先には その名残りのみ
飛び去りし ほととぎすよ
青空の下 今いずこ

杜鵑草(ほととぎす)
スケッチ:2005.10.27
はがき紙
透明水彩絵の具
水彩色鉛筆
鉛筆

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