夕陽「お持ち帰り」



烏瓜(からすうり)
夕陽「お持ち帰り」

一日の終わりがそろそろと
日ごとに早く 急かされる
並び歩く影はどんどんと
日ごとに長く 伸びてゆく

遠くに見えるわずかな海が
見え隠れする坂道を下れば
手前に掛かる鉄橋の上を
ミカン色の電車が
ガタゴトと賑やかに過ぎる
音の余韻が静かに続く

今年も また
あの覆い茂る竹林の傍らに
葉を落とした裸木の枝から枝に
常緑茂る垣根のそこここに
絡まり広がり覆いかぶさる蔦に
夕陽のように眩しい色の実が
私の「お持ち帰り」を待っている

ほんのわずかに残る緑のすじも
そのうちに夕陽色に染まる
そんな予感の色を滲ませて
驚くほどの眩しさを見せている

絡まる蔦を引き千切る乾いた音と
長く伸びる影を引きずって
どんどん迫る暮れの気配と共に
秋の夕陽を 「お持ち帰り」

烏瓜(からすうり)
スケッチ:2005.11.10
はがき紙
透明水彩絵の具
水彩色鉛筆

ホームページトップへホームページトップへ